幻宴Projectを聴きにいった感想の記事

先週の日曜日、埼玉県川口市にて東方Projectオンリー吹奏楽コンサート「幻宴Project ~ 幻想郷を彩る神々と仏の世界」が開かれました(詳細は以前執筆した紹介記事をご覧ください)。

紹介したからには是非行かねばと思い、管理人もはるばる博多から足を運び、こちらの公演を拝聴しました。ひじょうに聴き応え、見応えのある演奏会であり、片道6時間を費やした甲斐があったなと実感しました。

そこで本記事では、公演時の感動を思い出しながら、幻宴Projectの感想を述べたいと思います。特に、当サイトは九十九姉妹を応援する非公式サイトですので、輝針城アレンジ楽曲「小人と付喪神の進軍」の感想に多くの分量を割いて詳述します。

第一部

二つの楽園 ~ 月と現し世の夢

公演が始まり、最初は永夜抄と紺珠伝のアレンジ。弾幕が交差するように多数の曲が交じりあい、それとともにスクリーンに様々なイラストが映し出されていきます。永夜抄と紺珠伝は原作のなかでもかなり遊んだ方なので、曲が切り替わるたびに数々の弾幕を思い出しながら聴いていました。

小人と付喪神の進軍

前述したとおり、ここに多くの分量を割きます。

この楽曲は、タイトルのとおり輝針城4~6面およびExのBGMをアレンジした曲です。紹介記事でも触れたとおり、この曲では吹奏楽と琵琶、箏(本来『こと』はこう書きます)、和太鼓そしてドラムスがコラボしています。特に琵琶と箏はこの曲だけでしか聴くことができなかったため、公演全体で見てもたいへん貴重な瞬間だったのではないかと思います。

初めはのどかな雰囲気から、まるで魔力嵐が会場内に現れたかのように徐々に演奏が激しさを増してゆきました。その後は箏がメインを張ったり、再び吹奏楽がメインとなったりしながら曲が進み、会場内を妖怪達が進軍していくようでした。

管理人が注目した点は、琵琶と箏の楽器としての特徴です。琵琶はイメージ通り掻き鳴らす使い方が最も多く、弦楽器でありながらリズム隊のようなはたらきをしていたように思います。また、コンサートホールで西洋の楽器に混じってもなお、琵琶の音は聞き分けることができるほどに力強く響いていました。その一方で、箏のように複雑なメロディを奏でることはしない楽器なのだなということもよくわかりました。

箏は前述したとおり、曲の一部でメインメロディを担っていました。十三本の弦から繰り出される音域の広さもさることながら、左手で弦の張力を変えることにより音色の面でも多彩さを発揮していました。一方、箏の音を聴かせるために西洋の楽器たちは一旦音を止めなければならず、そこに箏の欠点があるのだなと認識しました。

この曲を通して、管理人はこれらの特性が九十九姉妹の弾幕や性格に影響していると考えました。具体的には以下のとおりです。

  • 弁々はどっしり構えて掻き鳴らすため冷静沈着な性格となり、弾幕も力押し気味のものが多い。
  • 八橋は手数が多く多彩な音を鳴らすため向こう見ずな性格となり、弾幕は軌道や出現箇所が独特で非常に避けづらい。
演奏中は本当にこのようなイメージでした

神さまの足跡 ~ 新天地への御神渡り

3曲目は風神録アレンジでした。太古の諏訪の国に神奈子が侵攻するところから物語は始まり、諏訪大戦 ~ 土着神話 vs 中央神話、守矢神社の幻想入り、風神録本編と物語が続きます。風神録のストーリーを念頭に入れておくと楽しみが倍増する曲でした。これに限らず、各原作をよく知っているとより楽しめた公演だったと思います。

第二部

休憩のタイミングでTwitterを確認したところ、「#幻宴Project」がトレンド入りしていました。それだけ多くの方々が川口市に訪れ、皆が来場報告や感想などをツイートしていたのでしょう。管理人もツイートしていましたし。

孤独に哀しみを、探しものに喜びを。

第二部のはじめは心綺楼アレンジでした。前半は心綺楼本編で暴走する面霊気の秦こころ、後半は人妖を魅了する能楽師の秦こころが曲と絵で綴られていました。妖怪が悪者として退治されて終了ではなく、その後に幻想郷の一員として歓迎されるストーリーを見ると東方らしさを感じますよね。

後戸を操りし幻想郷の賢者

2曲目は天空璋アレンジ。原曲のなかで個人的に好きな部分、例えば5面道中曲のピアノソロパートや、フォーシーズンズのAメロのベース(原曲の21秒あたり)なども忠実に再現されており、それなりに東方アレンジをやっていた身としてたいへん感激しました。1~4面の道中曲が背後に隠れていたのも、季節異変をなぞったよい表現だと思います。

飛鳥の夜明け、伝説のはじまり

3曲目は神霊廟アレンジであり、威厳ある聖徳太子とその仲間たちを幻視できる編曲がなされていました。これから何かが始まる予感を感じさせる、勇ましく明るい雰囲気の曲でした。中学校の歴史の教科書で見る聖徳太子は概ねこのイメージではないでしょうか。

丁未の乱

4曲目も神霊廟アレンジですが、こちらは物部氏と蘇我氏の対立、そして裏で糸を引く聖徳太子の構図。先ほどの「飛鳥の夜明け、伝説のはじまり」とは異なり、荒々しい曲調、同じ時点でぶつかり合う大神神話伝と夢殿大祀廟のメロディが印象に残りました。大神神話伝は3/4拍子、夢殿大祀廟は4/4拍子であるにも関わらず、よく同時に鳴らせたなと思います。

第三部

命蓮寺縁起音詩 ~ 尼公の抱いた望み
大和の巻・幻想郷の巻

第三部は星蓮船アレンジ1曲のみ。この曲は、命蓮の死からゲーム本編までの長大なストーリーを示した楽曲でした。

冒頭の解説で触れられていたとおり、各所で様々にアレンジされた感情の摩天楼のフレーズが散りばめられていました。楽譜を入手していないので詳細は不明ですが、序盤の命蓮が亡くなるシーンでは悲壮感を強調するために東方Projectの音階(自然短音階の6度のみを使用しない音階)から脱却したり、終盤の星蓮船6面のシーンでは原曲を素直にアレンジしたりしていたと思います。

また、個人的には虎柄の毘沙門天に圧倒されました。金管の低音をメロディに持ってこられたら勝てる気がしないですね。星さんもっとPアイテムください(Hard未クリアシューター)。

アンコール

アンコールの前に、編曲者、指揮者かつ主催者である白鷺ゆっきーさんからご挨拶がありました。空の帰り道のピアノソロが演奏されるなか(感情の摩天楼かもしれませんが管理人は空の帰り道だと思っています)、この演奏会のコンセプトや開催の経緯などが語られました。

とりわけ印象に残ったのは、東方アレンジを音楽の枠に留めたくない、コンサートホールそのものが巨大な合同誌のようであるというゆっきーさんの言葉でした。これは、自分が東方二次創作をするうえで最も大事にしていることと同様の意味であると、管理人は解釈しました。つまり、音楽やイラスト、ゲームといった表現形式がある前にまず東方という世界観があり、それを自力で解釈したうえでアウトプットした結果のひとつが、今回の演奏会だったのかなと考えています。

年の瀬の落とし物を探しに

アンコールは白い旅人から始まり、神と名の付くキャラクターの曲や神々が恋した幻想郷、そして萃夢想(Arrange)をミックスしたメドレーが演奏されました。
白い旅人は年の瀬によく合いますね。それから、萃夢想(Arrange)は様々な種族が共存する幻想郷をよく表す曲だと改めて考えました。こうして原曲一覧を眺めると、幻想郷には実に多種多様な神々や仏がいることを実感できます。

まとめ

いい演奏会でした。

……もう少し具体的に書きましょうね。ハイ。

東方Projectの楽曲を単に音楽のデータベースとしてみなすのではなく、幻想郷を視ることができるよう最大限工夫がなされた編曲。スクリーンにイラストを映し出すことでより増す、幻想郷への没入感。これら2点が、この公演で特に印象に残りました。

単なる音楽コンサートに留まらず、ひとつの東方二次創作として非常に完成度の高い演奏会でした。

以上、感想記事でした。